昨年に続き、二人の日本人がノーベル賞受賞の快挙!
ノーベル生理学・医学賞に北里大学の大村智特別栄誉教授が、物理学賞に東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授が選ばれました。
改めてお二人の研究内容を知ると受賞して当然と思います。
大村教授が開発した偉大な薬は、静岡・伊豆半島のゴルフ場近くのありふれた土壌から生まれたそうです。 採取した土壌から発生したバクテリアを培養し、抗生物質の元になる化学物質を抽出したことに始まります。
地道な作業の研究成果から生まれた治療薬「イベルメクチン」は、家畜動物の寄生虫駆除だけでなく、熱帯地方に蔓延し失明を引き起こす「オンコセルカ感染症」に劇的な効果を発揮。 一年に一回の服用でOKという。毎年2億人以上を感染症から救っているそうです。
すでに、WHOを通じて中南米やアフリカなど10億人以上に人々に無償で提供されているという。 失明の危機から多くの人を救った大村教授の功績は、十分ノーベル賞に値し、受賞は遅かったくらいだと思います。
「イベルメクチン」を開発した先生と説明され、どっと集まった子供たち (写真はネットより拝借)
梶田隆章教授は、素粒子ニュートリノに質量があることを発見。 今まで素粒子には重量がないと言われ続けていたので、この発見は物理学の根底から変えるものだそうです。 謎に包まれた宇宙成り立ちの解明の糸口が掴めるかもしれないのです。
そもそも「ニュートリノ」とは何ぞや?
「ニュートン」は愛読誌でもあり、物理は大好きなので拙い知識を辿りながら分かり易く説明しますと・・・もちろん、受け売りも含みます^^
地球上のあらゆる物質は「分子」で構成され、分子はさらに小さな原子に分けられます。 「原子」は、「陽子(+)」と「中性子」、「電子(-)」という三つの素粒子で出来ています。 要するに「原子」より小さな基本単位が素粒子なのです。 当然ながら電子顕微鏡でも見ることは出来ません。
「ニュートリノ」は、中性子が壊れるときに生成される粒子で電荷は持っていません(中性)。 ニュートリノは宇宙に蔓延しており、超新星爆発や太陽などから大量に放出されます。 地球の裏から表からあらゆる方向から、地球上には毎秒1cm2当たり680億個のニュートリノがシャワーのごとく降り注いでいます。
ちなみに、分子よりも原子よりも小さい「陽子」を地球の大きさに例えると、「ニュートリノ」は米粒の大きさなのです。 如何に小さいか理解頂けると思います。 ニュートリノは電気的に中性(+でも-でもない)なので、人間の体はもちろんのこと地球などあらゆる物質を通り抜けてしまいます。 つまり何億光年先の宇宙からであろうとも、ほとんどさえぎられることなく地球まで届きます。 宇宙成り立ち解明のゆえんです。
梶田教授は、恩師小柴教授(2002年ノーベル物理学賞受賞)の開発から発展した「スーパーカミオカンデ」を使い、ニュートリノが5万トンの水中を通り抜ける際、衝突したときの極小の光を、壁一面に1万2千個張り巡らされた光電子増倍管で検知し、形が変わること(ニュートリノ振動)で質量があることを発見したのです。
(写真はネットより拝借)
光電子増倍管で検知する超極小な光の明るさは、例えるなら月面で宇宙飛行士が懐中電灯で照らした光を、38万Km 離れた地球から捕らえるというイメージなのです。 光速で降り注ぐニュートリノの中から、極々一部の光る現象を捕らえるのですから凄いことですよね。
いずれにせよ、お二人の日々地道な積み重ねが評価されたものですが、日本人が受賞した事が何よりもうれしいですね。