出典:Youtube「パソコン修理屋の豆知識」
兵庫県尼崎市でパソコン修理会社が運営する「パソコン修理屋の豆知識」、Youtubeの動画は、うえもっちゃん(株式会社アンダーアップ常務)が配信者となっており、パソコンに関するお役立ち情報や、PC初心者にWindowsの操作など分かり易く解説しているなど、登録者数36.5万人のチャンネルがあります。
私も日ごろから、車やパソコン、音楽関連をはじめ、さまざまなジャンルのYoutube動画を楽しんでいます。その中で、たまたま「パソコン有償譲渡会の闇」と題する動画を観ました。その譲渡会にYoutuberのうえもっちゃんが潜入し、システム要件をクリアしていない低スペックなパソコンに、Windows11がインストールされていたり、PCスペック(仕様)に不相応な価格設定などから、購入をお勧めしないなど、注意喚起する動画内容になっています。
35万人の登録者をもつチャンネルなので、主催者から営業妨害と抗議されるのではないかと懸念していましたが、後に述べる通り現実となりました。具体的に検証しながらの動画構成になっており、譲渡会で購入しようと思っていた人やこの存在を知らなかった人にとっても、大変参考になるものでした。
チラシ表記にウソはないものの、システム要件をクリアしていないインストール不可のパソコンに、裏ワザを使ってWindows11を搭載、これに関する説明もなく譲渡(販売)する行為は問題だと思います。使えない訳ではありませんが、操作性は疑わしくこの指摘に対して主催者は反論できるものではなかった筈なのに・・・
この動画は、9月7日にアップされましたが、9/23現在(午前)100万回近いアクセスがありました。しかし、その2週間後(9/20) 9月23日をもって配信停止するという告知動画が、突然 同チャンネルにアップされました。
配信停止の理由は、弊社都合であるとだけ説明。ポップな帽子をかぶり、陽気な語り口のうえもっちゃんがどの動画にも登場していますが、配信停止告知の動画では、黒のスーツを着用し神妙な顏で登場。怯えたような感じで、自分の本名や会社も公開した上で、該当の動画配信停止とその理由を告知するだけで、それ以外の理由は一切触れず3分少々で終わりました。
どうみても何らかの圧力がかかったようにしか見えません。譲渡会の主催者から抗議や警告?があったのか、カンペは予め用意されており、それすら読まされている感もあります。なんだかますますこの有償譲渡会の闇を感じてしまいます。抗議があったのであれば、その時点で即配信停止すればいいのに、なぜか数日先の9月23日に猶予したこともよくわかりません。
Youtuberとして、よくここまで勇気ある動画をアップしたものだと感心していました。結果的には懸念した通りの事態となりましたが、主催者側に非があるのに、圧力をかけても今のネット社会では逆効果です。削除(配信停止)は拡散の始まりとも言えます。消せば増えるのです。
営利(利益分配)を目的としないことが特徴である「一般社団法人」が主催者であるのに、ビビるほどの圧力をかけるなんて、何とも怪しげであります。この社団法人は、有償譲渡会を全国的に展開しており、非営利法人とは思えない収益があるにようにも感じとれます(営利を目的としない一般社団法人の収益は違法ではありません)。
動画紹介では、有償譲渡会の会場は、予想外の老若男女200人以上が集まるという盛況ぶりで、2時間以上待たされてやっと展示会場に到達。そこから20人づつのグループの分けて入場する形がとられていました。会場での購入はすべて現金払いでクレジットは使えません。
安心感を与えるためか、チラシでは「大企業・官公庁で機器入れ替えとなったノートパソコンをお譲りします」と大々的に宣伝しています。素朴な疑問として、大企業や官公庁がリユースを目的にに、民間に横流しをするとはとても思えません。個人情報や公的情報のつまったPCは、通常 廃棄処分にする筈です。
譲渡会の一例をあげると、売れ筋の「初心者の方でも扱いやすい機種」として、15.6インチでWindows11が搭載されたパソコンが2万6000円という価格で紹介されています。CPUはセレロンで型番は表記されておらず(実際はCPUエンブレシールから第7世代 Core i3:発売日2017年1月)、メモリ4GB、ストレージSSD120GB。会場のポップ表記と現物パソコンCPUに相違があることも問題ですが、Win11パソコンとしては、スペック(仕様)が貧弱すぎます。
中には、Core i5、メモリ8GB、SSD256GBで価格5万7200円(税込)、Windows11搭載した中古PCが展示されていたのですが、同様にCPU型番や世代が不明。Win11は、スタート⇒設定⇒システム⇒バージョン情報からCPUスペックが確認可能です。そこで、うえもっちゃんが会場で確認したところ、CPU型番は5300U(第5世代)と判明。このCPUは2015年6月に販売されたものなので、9年前の代物。このスペックではパソコン価格にかなり割高感があります。
低スペックやWindows11のシステム要件を満たしていないパソコンに、通常とは異なる方法でWindows11をインストールしていることは由々しき問題です。操作性もさることながら、機能更新プログラム(大型アップデート)や品質更新プログラム(修正プログラムやセキュリティ関連)など定期的なアップデートが出来ない可能性もあります。
払い下げのノートPCであれば、バッテリー使用時間も気になるところ。中古PCで2年間保証は異例です。アフターサポートや長期保証が間違いないのであれば、保険として高価であることを承知で購入するのは問題ありません。いずれにせよ高齢者などパソコンに詳しくない初心者を対象とした情弱ビジネスと言えます。
アマゾンや楽天にもWindows11がインストールされた中古PCがあります。中には上記のようなシステム要件を満たさない中古パソコンにWin11がインストールされたものがあるので、中古パソコンを購入する場合、その見極めが必要です。
2024年9月現在、Windows11のシステム要件を満たす条件は以下の通りです。
*Intel の第 8 世代 Core i プロセッサー以降(最新版 core i は 第14世代)
*AMD Ryzen 2000 シリーズ以降(最新版 AMD Ryzenは 9000シリーズ)
Window11のシステム要件
*1 GHz 以上で動作する複数コアを搭載した 64 ビット CPU
*4 GB 以上のメモリ
*64 GB 以上(ストレージ)
*UEFI、セキュアブート対応(システムファームウェア)
*トラステッドプラットフォームモジュール(TPM)バージョン2.0
*DirectX12 以上(WDDM2.0 ドライバー)に対応したグラフィックカード
所有パソコンにおいては、マイクロソフト社提供の「PCの正常性チェックアプリ」によるチェックも可能です。