小学館の月刊「サライ」というの雑誌があります。
2月号の特集に没後20年の藤沢周平の特集がありました。
誌面の中に「藤沢家の口ぐせ」というコラム欄があり
1.普通が一番。
2.挨拶が基本。
3.何事に対しても感謝をする。
4.間違いがあった時は、謙虚に認め非を謝る。
5.派手なことはせず、目立つことはしない。
6.自慢をしない。
という主旨の言葉がありました。
まさに、「平凡でいい。 ひたむきに生きよう」・・・藤沢周平にふさわしいメッセージですね。
人生訓として誰にも通ずることばで、ぜひ実践したいものです。
藤沢周平氏の本は大好きでずいぶん読みました。
映画化された「たそがれ清兵衛」、「山桜」、「武士の一分」、「花のあと」、「必死剣鳥刺し」、「隠し剣鬼の爪」、「小川の辺」、「蝉しぐれ」も、原作と併せてすべて見ました^^
いずれも原作に恥じない見事に再現した映画ばかりで感動なくして見れません。
しかも映画化された原作は短編ものが多く、その行間を読んで映像化する監督や脚本家のスキルは大変なものだと思います。
特に「山桜」は、20ページの短編ですがよくもここまで映画化(2008)できたものだと感心します。
「時雨みち」(新潮社)に収めてあるものですが、ラストシーンのために作られた映画といっても過言ではありません。
原作の最後の一説に「とり返しのつかない回り道をしたことがはっきりわかっていた。 ここが私の来る家だったのだ。 この家がそうだったのだ。 なぜもっと早く気づなかったのだろう」・・・。
ネタばれになりますが、映画では町江(田中麗奈)が想いを寄せていた弥一郎(東山紀之)の家をはじめて訪れた時、獄中の息子を待つ彼の母親(富司 純子)から
「あたながいつかこの家を訪れてくれるだろうと心待ちにしていましたよ」・・・
「弥一郎があんなことになってこの家を訪れる人が一人もいなくなりました・・・寂しゅうございました」「訪ねてきたのは・・野江さん、あたなたが初めてですよ」。
今まで嫁ぎ先で散々苦労したが町江が、この包み込むようなやさしい言葉に涙します。
原作の最後の一説がこのワンシーンに込められています。
藤沢周平に出てくる主人公は、生活は質素で金はないが正義を貫く、下級藩士だが剣術がめっぽう強いという場合が多いです。 登場する主人公の生き様も、何かしら藤沢周平とかぶるものがあります。
最近、私も「平凡である」事こそが、如何に大切で幸せであるかを実感するようになりました^^
まさに藤沢周平の普通であることに通じます。