「ドライブ・マイ・カー」を観たけどエンターテイメントには程遠い映画だった

濱口竜介監督による「ドライブ・マイ・カー」を、やっとDVDで観ました。第74回カンヌ映画祭(2021年7月)で4冠を獲得、アメリカ・ロサンゼルスで開催された第94回アカデミー賞(2022年3月)では「国際長編映画賞」を受賞。また、第45回日本アカデミー賞でも最優秀作品賞を受賞(2022年3月)。メジャーな映画祭において数々の作品賞等を受賞したすごい映画なのであります。

昨年8月公開の映画ですが、数々の作品賞により、前評判上々の映画でしたのでぜひ観たいと思っていました。最近、映画は動画配信サービス(NetflixやAmazon Prime)で楽しんでいますので、久々にTSUTAYAで借りてきました。何しろ約3時間(179分)の長編なので、腰を据えてじっくりと観ました。

見終えた時の感想は、私にはメリハリのない無駄に長いだけの映画でした。長いわりに面白くなかったということです。中盤から家福が演出する多国言語の戯曲「ワーニャ伯父さん」(チェーホフ)の棒読みセリフが続いたり、単調なセリフと起伏のないシーンが延々と続きます。これほどまでに尺を長くする必要があったのかと。

映画の原作は村上春樹の短編小説集「女のいない男たち」に収録されている「ドライブ・マイ・カー」で約54ページ相当の短編小説です。

物語は、音(妻)は「今晩大事な話がある」と家福に伝えたまま、くも膜下出血で他界してしまう。2年後、喪失感を抱えながら生きていた彼は、広島に2ヵ月滞在することになる。演劇祭で演出を担当することになり、愛車サーブで広島へ向かう。そこで出会った寡黙な専属ドライバーのみさきと過ごす中で、家福はそれまで目を背けていたあることに気づかされていく。

色々な映画や評価はそれぞれあっても良いと思います。正直なところエンターテイメント性の全く感じられない映画でした。海外では間違いなく評価された映画なので、評価の分かれるとことだと思います。

国内外の映画際で受賞した作品は、洋画・邦画関係なく大抵観ていますが、楽しめる作品が多いです。2009年第81回アカデミー賞外国語映画賞(現国際長編映画賞)日本初の受賞作品「おくりびと」も昔観ました。聞きなれない職業をテーマにしたものでしたが、受賞にふさわしい価値ある作品でした。

「ドライブ・マイ・カー」の場合、滝口監督の作品に対するコンセプトを知ると、広島をロケ地に選んだことや、ストーリーの各シーンを深堀りすれば、そうだったのかと心に響くものはあります。1回だけではなく2回観ればこの映画の本当の良さが伝わるかもしれません。

映画愛好者の中には良かったと評価する人もいますが、映画をエンターテイメントとして楽しむ大多数の人は、面白くない映画と感じるに違いありません。映画を観た人のコメントに「冒頭から引き込まれました。普段邦画を観ていない人にお勧めです」とありましたが、エンターテイメント性のある映画ではないので、それはないと私は思います。

映画紹介サイトは映画通が多いので投稿によるコメント評価は高いですが、娯楽を求めて買うアマゾンのDVD購入者のコメント評価は低いです。映画は単純に感動したり、楽しめるものがいいです。「ドライブ・マイ・カー」は、評価の高い秀逸な映画作品かもしれませんが、凡人の私には、感動もなくつまらない映画でした。だた広島ロケによるシーンは広島県人として興味深く拝見、素晴らしいカットに感心しました。

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