上記の写真は、鏡に映る物体の形と、鏡の前にある物体の形が、全く異なります。
四角が丸に、クラブがハートに映し出されています。
撮影に細工を施している訳でもありません。プラスチックで作られた物体を鏡に映しただけの作品であります。手前の作品を180度回転させると映像が全く逆になります。
多くの人はどういう仕組みなのか、どうやって作ったのかとても理解できないと思います。
錯視についてはとても興味があり、関連本など昔からよく読んだものです。
現在では、インターネットが発達しており、キーワードで簡単に目に触れることができます。
錯視にもいろいろパターンがありますが、騙し絵を作る人がすごいなと思ったりしたものです。
今までの錯視は、どちらかというと二次元(平面)のものが多いのですが、数年前「変身立体」なるものを考えた人がいます。数年前からメディアでも取り上げられ、ご覧になった方もいると思いますが、明治大学の杉原厚吉教授であります。
ベスト錯覚コンテスト(Best Illusion Of The Year Contest)で、二度の優勝を飾った錯覚・だまし絵研究の第一人者でもあります。錯視を数字化することで、いろいろな立体錯視作品を作っておられます。
杉原教授の専門は数理工学で、凡人にはなかなか理解しにくいことですが、自分で見つけた連立方程式でプログラムを使って作品を作っているそうです。
先生の言葉を引用すると、「例えば、丸に見える立体というのは、無限にある。四角に見える立体も無限にあります。右から見た時には丸に見えて、左から見た時には四角に見える立体を作るためには、それぞれの方程式を立てて、連立させて解いてみるんです。答えがないなら、そんな立体は存在しない。答えがあるなら、それを使えば実際にその立体が作れるということです」
(朝日新聞デジタル:談話記事引用)
筒のフチの曲線が上がったり下がったりする空間曲線となっていることがポイントです。
先生のお話によると、フチの高さは部分によって違うのですが、いくら回しても同じ高さに見えるように作ってあり、脳は軸に垂直な平面でスパッと切った切り口を見ていると思い込み、平面図形だと錯覚してしまうのだそうです。
下記の動画でいろいろパターンを見ると立体変身が理解できます。