話題としては遅まきながらの感がありますが、2018年ノーベル平和賞受賞したコンゴ民主共和国の婦人科医師デニ・ムクウェゲさんの活動に関するドキュメント(50分)が10月20日(土)NHKBS1で放送がありました。
午前0時からはじまる番組でしたが、あまりにも内容が衝撃的でつい引き込まれてしまいました。 今回で3回目再放送でしたが、初回放送は2016年8月、その後2016年9月・2017年2月に2回再放送されています。 それだけ見ごたえのあるものでした。
番組映像はベルギーの某プロダクションが2015年制作、原題:The Man Who Mends Women
NHKBS1番組タイトルは、BS世界のドキュメンタリー「ムクウェゲ医師の闘い」。
ムクウェゲ氏は1999年以来、コンゴ東部で武装勢力にレイプされた5万人近い女性や少女を治療や心のケアを行っています。 コンゴのルワンダに隣接する地域では、内戦によって引き起こされた住民の虐殺や女性に対する残虐な性犯罪が平然と行われていることに驚きを感じます。
また、レアアースやコバルトの天然資源に群がる大国や利権で潤う政府の連中が国土を荒らしている訳で、「コンゴは扉や窓のない宝石店のようだ」とムクウェゲ氏は述べています。
兵士がナタやクワで女性や子供の頭に振り下ろしたり、性器に銃を打ち込んだり狂気の沙汰としか思えない残虐行為が平気で行われているのです。
惨殺された女性の遺体が並び、住民たちがそばに穴が掘っているシーンもありました。
国民を保護する立場の政府兵士がやりたい放題~戦争犯罪や性暴力に対して抗議や起訴することもできません。
レイプされた少女をムクウェゲ医師が診たら、子宮経路の裂傷が直腸までおよんだケースや、レイプされた女性が妊娠をして生まれた子供がまたレイプされるケースもあるという。
レイプで妊娠をしても誰の子か分からず育てている女性もたくさんいるそうです。
レイプがもとで妊娠できなくなったり、エイズに感染するケースもあります。
被害者の治療と支援を続けるムクウェゲ医師は、国連や国際社会に向けて窮状を訴えるなどの活動をしたことにより、政府や武装勢力の標的にされ、暗殺未遂までおこっています。
ムクウェゲ医師が外出先から戻ってきた時、兵士に銃を突きつけられた際、後ろからスタッフ?の1人が「先生が撃たれる!」と叫んだところ、兵士は振り返り発砲しスタッフは即死。
何がなんだか分からないまま、気がついたらムクウェゲ氏は血の海の中。
死んだと思って兵士が去ったのだろうとご本人の談話。 危険を感じて一時亡命も余儀なくされました。
その後、再び現地の病院で活動を再開しましたが、訴えが実り国連軍24時間保護の下に診療が出来るようになりました。 暗殺未遂を受けながらも、まさに命をかけてコンゴ政府を批判し被害と紛争の実態を国際社会に広く訴えてきた事が実を結びました。
ムクウェゲ氏のノーベル平和賞受賞は当然だと思います。
もう1人の受賞者であるナディア・ムラドさんも、過激派組織「イスラム国(IS)」に住んでいた村を攻撃されて捕虜となり、性奴隷として繰り返しレイプや暴力を受けた性被害者。
脱出に成功にした後、壮絶な体験を恥じることなく勇気ある発言で、紛争地での性暴力の根絶を訴える活動もまた受賞に値します。
一時巷で、世紀の対談を行ったアメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長がノーベル平和賞の候補として名前が挙がりましたがとんでもない話です。
下馬評だとしてもふざけるなといいたいですね。