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ブラックホールの撮影って何がすごい?

話題としては遅まきですが、4月10日世界初ブラックホール撮影の快挙が報道されました。
私は物理や天体に関することが大好きで、かっては月刊科学雑誌「Newton(ニュートン)」を購入して愛読していました。現在は興味ある記事があるときは時々書店で立ち読みします^^;
アインシュタインの相対性理論を分かり易く解説した特集記事も興味深く読んだものです。

 

※ Photo Credit:EHT Collaboration

 

ブラックホールは、約100年前にアインシュタインの一般相対性理論からその存在は予言されていましたが、その確証はなく誰も見た人はいません。
過去100年間、物理学者や天文学者が見つけられらなかったブラックホール~
人類史上はじめてその存在を証明し、真の姿を捉えた撮影はすごいってことになります。

 

ブラックホールは、あらゆるものを吸い込む超重力の天体であり、光をも吸い込むので目で見ることが不可能でした。人間が物を見ることができるのは、対象物が光を放ったり反射されたりするからであり、光がなければ物を見ることができません。

どうやってみることが出来たのか? ブラックホールの周りにはガスがあってそれが光を放っているので、それを捉えることにより逆にブラックホールを黒い影(輪郭)として見ることができるからです。

 

今回撮影したおとめ座にあるM87銀河のブラックホールは、地球から5500万光年の距離にある。
光の秒速30万km(1秒間に地球7周半)をもってしても、5500万年かかるというのですから気が遠くなります。このブラックホールを世界8ヶ所にある電波望遠鏡をシンクロさせ、1つの地球サイズの電波望遠鏡にして観測されました。

 

電波望遠鏡は光学レンズを使用しません。パラボラアンテナのような形をしており、複数の電波望遠鏡と連携させ、仮想的に地球サイズの巨大な電波望遠鏡にし、視力300万(月にあるゴルフボールが地球上で確認できる)相当の分解能をもつ望遠鏡にしたのです。

 

2017年に観測は行われましたが、気象条件などの制約で観測できるのは5日間しかなく、集められたデータは膨大であり、集めるだけで一年以上さらに解析に時間を費やし観測から2年かかって、今回の歴史的発表に繋がった訳であります。

 

電波望遠鏡のデータから得られる画像はモノクロで、実際には色はついていません。
写真のオレンジ色は分かり易く色づけされたもので、元画像は白く光っている状態と思われます。
また、地球上にある電波望遠鏡が捕らえたブラックホールから発する電磁波も、地球に5500万光年かかって届いている訳ですから、我々が見ているブラックホールの姿も5500万年前のものになります。

 

そんなことを考えると宇宙って神秘的ですね。宇宙規模で物事を考えると地球上の出来事がちっぽく見えるし、人間の一生って一瞬なのだと思えてしまいます。

宇宙飛行士が捉えた「宇宙からみた台風5号」

現在、日本をゆっくり縦断中の大型台風5号~
日本列島を包み込む巨大な台風~

メディア等からも紹介されていますが、国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士がTwitterで投稿した画像がすごいです。 人知を越えた自然の脅威に圧倒されます。

投稿したのは、ロシアの宇宙飛行士セルゲイ・リャザンスキーさんとアメリカの宇宙飛行士ランドルフ・ブレスニークさんです。

地上400Kmから捉えた画像は圧巻ですね。
まさに宇宙からみた台風5号です。

真っ黒な宇宙空間に浮かぶ地球! 地上に住む人間の存在がちっぽけに見えます。


出典:Sergey Ryazansky/Roscosmos/Twitter 2017年8月1日

出典:Randy Bresnik/NASA/Twitter  2017年8月1日 左に見えるのはソユーズ

2015年ノーベル賞、日本人二人の研究の凄さ!

昨年に続き、二人の日本人がノーベル賞受賞の快挙!

ノーベル生理学・医学賞に北里大学の大村智特別栄誉教授が、物理学賞に東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授が選ばれました。 

改めてお二人の研究内容を知ると受賞して当然と思います。

大村教授が開発した偉大な薬は、静岡・伊豆半島のゴルフ場近くのありふれた土壌から生まれたそうです。 採取した土壌から発生したバクテリアを培養し、抗生物質の元になる化学物質を抽出したことに始まります。

地道な作業の研究成果から生まれた治療薬「イベルメクチン」は、家畜動物の寄生虫駆除だけでなく、熱帯地方に蔓延し失明を引き起こす「オンコセルカ感染症」に劇的な効果を発揮。 一年に一回の服用でOKという。 毎年2億人以上を感染症から救っているそうです。

すでに、WHOを通じて中南米やアフリカなど10億人以上に人々に無償で提供されているという。 失明の危機から多くの人を救った大村教授の功績は、十分ノーベル賞に値し、受賞は遅かったくらいだと思います。

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「イベルメクチン」を開発した先生と説明され、どっと集まった子供たち (写真はネットより拝借)

 

梶田隆章教授は、素粒子ニュートリノに質量があることを発見。 今まで素粒子には重量がないと言われ続けていたので、この発見は物理学の根底から変えるものだそうです。 謎に包まれた宇宙成り立ちの解明の糸口が掴めるかもしれないのです。

そもそも「ニュートリノ」とは何ぞや?
「ニュートン」は愛読誌でもあり、物理は大好きなので拙い知識を辿りながら分かり易く説明しますと・・・
もちろん、受け売りも含みます^^

地球上のあらゆる物質は「分子」で構成され、分子はさらに小さな原子に分けられます。 原子」、「陽子(+)」「中性子」、「電子(-)」という三つの素粒子で出来ています。 要するに「原子」より小さな基本単位が素粒子なのです。 当然ながら電子顕微鏡でも見ることは出来ません。

「ニュートリノ」は、中性子が壊れるときに生成される粒子で電荷は持っていません(中性)。 ニュートリノは宇宙に蔓延しており、超新星爆発や太陽などから大量に放出されます。 地球の裏から表からあらゆる方向から、地球上には毎秒1cm2当たり680億個のニュートリノがシャワーのごとく降り注いでいます。

ちなみに、分子よりも原子よりも小さい「陽子」を地球の大きさに例えると、「ニュートリノ」は米粒の大きさなのです。 如何に小さいか理解頂けると思います。 ニュートリノは電気的に中性(+でも-でもない)なので、人間の体はもちろんのこと地球などあらゆる物質を通り抜けてしまいます。 つまり何億光年先の宇宙からであろうとも、ほとんどさえぎられることなく地球まで届きます。 宇宙成り立ち解明のゆえんです。

梶田教授は、恩師小柴教授(2002年ノーベル物理学賞受賞)の開発から発展した「スーパーカミオカンデ」を使い、ニュートリノが5万トンの水中を通り抜ける際、衝突したときの極小の光を、壁一面に1万2千個張り巡らされた光電子増倍管で検知し、形が変わること(ニュートリノ振動)で質量があることを発見したのです。

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(写真はネットより拝借)

光電子増倍管で検知する超極小な光の明るさは、例えるなら月面で宇宙飛行士が懐中電灯で照らした光を、38万Km 離れた地球から捕らえるというイメージなのです。 光速で降り注ぐニュートリノの中から、極々一部の光る現象を捕らえるのですから凄いことですよね。

いずれにせよ、お二人の日々地道な積み重ねが評価されたものですが、日本人が受賞した事が何よりもうれしいですね。